五歩げん(ごほげん)は、主に熊本の一部地域で親しまれている陣取りゲームの一種。
3~5人程度で遊ぶことが出来、地面に引いた線で相手の陣地を囲むと勝ち。
遊び場所、道具 ↑
- 足で線を引くことが出来る、土の地面の屋外を探すこと。
- 各プレイヤーの陣地を広げていくため、なるべく広い場所を確保すること。小さな公園などでも十分に楽しめる。
- つま先で線を引くことが出来る靴を各自履いていること。ただし、大きすぎるお父さんの靴などは利用禁止。
遊び方 ↑
- 人数分の辺を持つ多角形を地面に書く(例:3人の場合は三角形、5人の場合は五角形)。
- 各辺をプレイヤーごとの陣地の始点として、放射状に5歩分の長さを持つ長方形の陣地を書く(五歩げんの名前の由来)。長さを測る際は普通に歩くのではなく、踵とつま先を交互にくっつけながら、足の長さピッタリにして測ること。長方形の幅は1~1.5歩分くらいが好ましい。
- 各自書き終わったら中央の多角形に片足を置いて、じゃんけんをする。じゃんけんの掛け声は各地の掛け声に従う(ごーほーげん、もーぐりげん、ショッ等)。
- じゃんけんで負けたプレイヤーがその回の「オニ」となり、他のプレイヤー(非オニ・プレイヤー)をタッチするとオニの勝ち。オニはタッチした数分の歩数、オニではないプレイヤーはオニのタッチから逃げられたら一歩分、陣地を拡張することが出来る。
- オニもプレイヤーも、各自の陣地からはみ出ることは許されない。オニはジャンプで非オニ・プレイヤーをタッチすることになるが、タッチのタイミングが着地のタイミングより早ければオニの勝ちとなる。
- オニのジャンプは非オニ・プレイヤーごとに行い、タッチしやすい順に順次対戦することになる。
ゲームの終わり ↑
- あるプレイヤーが他のすべてのプレイヤーの陣地をすっぽりと囲んだり、オニとしてすべてのプレイヤーに必ずタッチ出来る状態になるまで陣地を広げた場合は、そのプレイヤーの勝ちとしてゲームを終了する。
- 陣地を囲まれたプレイヤーはその時点で「負け」となり、囲んだプレイヤーの陣地の中でのんびりと過ごす。
勝ち方のコツ ↑
- じゃんけんで一人負けした時が最大のチャンスで、まとめて全員をバシッとタッチすることで、一気に陣地を拡張することが出来る。
- 陣地を広げる際、「他のプレイヤーの陣地に並行して広げる(オニになった時にタッチしやすい)」、および「他のプレイヤーから離れて陣地を広げる(非オニの時に逃げやすい)」を交互に行うことで、攻撃力と防御力の両方を高めていく。
その他のルール ↑
- 物干しザオやその他フィールド上に存在する障害物については、陣地から直接移動できる場合、ぶら下がったり登ったりしてその上を移動することが出来る。
- 長嶺ルールその2(長嶺の岡本さんからの情報。ありがとうございます!)
- 最初に多角形を描く代わりに、電柱を中心としてゲームを行う。この場合、片足を電柱にかけてじゃんけんをする。
- 電柱を中心に、
参加者全員が任意の方向へ5歩分の自分の陣地を作る - 参加者全員電柱に片足を乗せた状態で「ごーほーげん」
という掛け声と共にじゃんけんをする。 勝った人は順に逃げていく。最後に負けた人が鬼となる。 - 鬼は逃走者をタッチする事で捕まえることができる。
- 鬼が降参、
もしくは逃走者全員が捕まることでゲーム終了となる。 - ゲーム終了後、鬼は捕まえた人数分、
逃げ切った人は3歩分自分の陣地を拡張できる。 - その他補足
鬼、逃走者共に行動範囲は陣地+高いところ+平地でも1歩分。
というルールでした。
自分の陣地から1歩使い、平地に行き、次の一歩で高いところに行くことも可能です。具体的に言いますと、
自分の陣地→平地(一歩)→滑り台
などです。また、私たちのよく行っていた公園では、柵が周りを囲っていました。当然柵の上を歩けば高いところとして良いのですが、それでは危ないということで柵の横もOKとなり、ルールはアバウトに高いところ(もしくはその側)になりました。砂場の囲いの石も高いところという定義になったり、ブランコの柵の周りも高いところという事になりました。
今になって考え方を変えるなら、高いところに体の一部が触れていれば良いというルールになりました。
まとめると行動範囲は
自分の陣地+高いところ(体の一部が触れていれば良い)+1歩
でした。
勝ち方のコツとして、高いところを自分の陣地で囲って自分だけで独占する…等々たくさんありました。
この文章について ↑
五歩げんは、Wikipediaにもまだ載っていない、かなり狭い範囲で遊ばれていた遊びのようです。
Googleで検索しても、この文章以外には関連情報が2件しかヒットしませんでした。
それらの情報と合わせると、私が住んでいた長嶺、そして帯山・健軍では割にポピュラーだったのではと思われます。
Wikipediaに載せるには出典がなさすぎることと、知名度が低すぎる可能性もありますので、まずはこのブログに遊び方のまとめとして記載することにしました。
五歩げんについての情報をお持ちの方は、smilkobuta@gmail.comまでご一報ください!
[2014/1/28追記]
このページのコメント欄や友人からの情報によると、この遊びは「十字架」「陣取り」といった別の名前で熊本以外の地域でも親しまれているようで、五歩げんという名前だけが熊本ローカルのようです。
「五歩げん」のネーミングセンスは一歩上をいっていると、地元びいきしてしまいますが・・・(笑)
子供の遊びには珍しい戦略的な遊びで、現代っ子にもウケがいいので、このページをご覧の方はぜひ周りの子供に指南してあげてください。
[2016/1/22追記]
長嶺出身の(私の同郷!)岡本さんから詳細な遊び方をご連絡いただきましたので、「長嶺ルールその2」として追記しました。
同じ長嶺でもけっこう違いがあるもので驚きました。
高学年だけで遊ぶ時と、低学年も一緒に遊ぶ時では、適度にルールやハンデを変えていくところが遊びのコツですよね。
岡本さんの地域ルールには、全員が楽しく遊ぶ方法を模索する、子どもならではの知恵がたくさん含まれているようです。